浦和地方裁判所 昭和62年(わ)1169号 判決 1988年6月02日
本店所在地
埼玉県比企郡嵐山町大字志賀二二番地一
有限会社美帆商会
右代表取締役
勝田政治
本籍
埼玉県比企郡小川町大字大塚四〇五番地一
住居
右同所
会社役員
勝田政治
昭和二四年四月三〇日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官渡辺孝出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人有限会社美帆商会を罰金一二〇〇万円に、被告人勝田政治を懲役一〇月にそれぞれ処する。
被告人勝田政治に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人有限会社美帆商会(以下「被告会社」という。)は、埼玉県比企郡嵐山町大字志賀二二番地一に本店を置き、パチンコホールの経営等を営業目的とする資本金一〇〇万円の有限会社であり、被告人勝田政治は、被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人勝田は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外する方法により所得を秘匿した上
第一 昭和五七年九月一日から同五八年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五三七九万四〇六七円であったにもかかわらず、同五八年一一月二日、同県東松山市箭弓町一丁目八番一四号所在の所轄東松山税務署において、同税務署長に対し、その所得金額がなく納付すべき法人税はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の同事業年度における正規の法人税額二一六三万三四〇〇円を免れ
第二 昭和五八年九月一日から同五九年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三三七二万一一七六円であったにもかかわらず、同五九年一一月一日、前記東松山税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三八四万二二二七円の欠損であり、これに対する法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の同事業年度における正規の法人税額一三六一万七一〇〇円を免れ
第三 昭和五九年九月一日から同六〇年八月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二五一一万二二三八円であったにもかかわらず、同六〇年一一月一日、前記東松山税務署において、同税務署長に対し、その所得金額がなく納付すべき法人税はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の同事業年度における正規の法人税額九八八万九三〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実を通じ、
一 被告人勝田政治の
(イ) 当後半廷における供述
(ロ) 大蔵事務官に対する質問てん末書七通
(ハ) 検察官に対する供述調書
一 被告人勝田政治作成の61・9・26付提出書
一 勝田幸子の
(イ) 大蔵事務官に対する質問てん末書九通
(ロ) 検察官に対する供述調書
一 東松山税務署長作成の61・8・1付証明書
一 検察事務官作成の電話録取書
一 検察事務官作成の報告書
一 大蔵事務官作成の各種調査書一四通
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の記録182号と記載のある脱税額計算書
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の記録183号と記載のある脱税計算書
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の記録184号と記載のある脱税額計算書
(法令の適用)
判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告会社については、更に同法一六四条一項)に該当するが、被告会社については情状にかんがみ同法一五九条二項を適用し、被告人勝田については所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社及び被告人勝田の以上の各罪は、いずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金一二〇〇万円に、被告人勝田については同法四七条本文、一〇条により、犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加算をした刑期の範囲内で懲役一〇月にそれぞれ処し、同被告人に対し同法二五一条一項を適用してこの裁判の確定の日から三年間、右刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官 木谷明)